2020年に読んだBLコミック、BL小説、非BL作品について振り返る記事

2020読んだ本まとめ.png


2020年に読んだ本の中から、なるべく厳選おすすめ。総まとめです。


もともと一定以上おすすめできるもののまとめを、作っていたんです。noteで。

 

が、noteでの更新をやめてしまったので、9月半ばくらいまでの分しか記載されていません。

あらためてまとめ一覧を作りたいと思いつつ、ちょっと量が膨大で面倒が過ぎたので、本記事にて最終的なまとめ、みたいな感じで振り返りを行うことで、2020年の分はよしとします。


Twitterで「tiharu4happy 読了」で検索してもらうと、読了後に一定以上の気持ちで「おすすめできる〜〜〜」と思ったものが、ズラーーーーーーーーっと出てきます。

ズラーーーーーーーーっと出てくる一覧を眺めたい方は、お正月などのおヒマな時間にどうぞ。

うまくできてるかわからないけど一応、こちら「tiharu4happy 読了」検索結果へのリンクです。


では、以下より振り返りを。



1、今年はBLばかり読んでいた一年だった、と思いきや……

BLばっか読んでたなーって思っていたんですよ。自分で「tiharu4happy 読了」を、ざざーっと辿っていたときは。

でもよくよく見返してみたら、BL以外の、特に漫画も結構読んでいる。

『7seeds』全35巻+1冊を一気読みしていたり。


『ハイキュー!!』も全巻読んだり。(完結しましたね!! ずっと最高でした!!)

『ましろのおと』も一気読みしたり。

ね。 けっこうBL以外も読んでました。

『ましろのおと』は、2021年にアニメ化が決定しています。楽しみ!
絶対に観る!

ついでに、同じく2021年にアニメ化されます『怪物事変』もおもしろいので、よろしくお願いします。

藍本松『怪物事変』


2、あたらしいBLとの出会い

BLで言いますと、今年は「読んだことがない・あまり読んだことがない作家さんの作品も読んでみる」を目標にしていたので、いろいろな作品に出会えた年だったなと思います。

出会い、という点でとりわけ大きかったように思うのは、モノクローム・ロマンス文庫さんとの出会いです。

あまり作品読んではいなかったのですが、1月に開催されたギャラリーに足を運んでみたり。


出会いとして大きかったのは、こちらの作品です。

C・S・パキャット『叛獄の王子』シリーズ

全3冊+短編集1冊です。
短編集まで最高、最高でした。

特にこちらの短編集の、1話め。

「ドラマの終焉」後の日常を重ねるための、過去の精算。絶対にできないそれに最大限の誠実さで向き合うのがすごかったです。
どこまでも穏やかで、どのエピソードよりも厳しい。
購きれないことを知っているし、癒えないことも知っていて、しかし、癒される必要があったことに気づき、贖うための行為から逃げないという……ともかく、すごかったんですよ……!

この作品にハマったので、このレーベルさんの他の作品もあらためて読んでみたのですが、それがどれもあたりで。

イーライ・イーストン『月への吠えかた教えます』

『ロング・ゲイン』

そして……

『ロイヤル・シークレット』

今年読んだBLで「ハリウッドで映画化してほしい!」作品ナンバーワンでした。
いえハリウッドでなくてもいいのですが、英語話者が英語で話す、英語文化圏の人がつくる映画にしてほしい。

展開・構成も、文脈に込められたもろもろの厚みも、本当に素晴らしく……!


はぁ〜〜〜どれも良作でした〜〜〜!


コミックでは、

イシノアヤさん『カントリー・ダイアリー』

 

が、ちょっと印象深いです。

性欲の描かれていないBLって、別にそうめずらしいものでもないのですが、ここまで徹底して「日常」に振り切ってるのはすごいな。みたいな。
好きです。


3、素晴らしい再会もありました


私の好きBLコミック永遠の殿堂入り、『500年の営み』

今年も当然のようにこれを読み返し、あらためて胸にぎゅっと抱いたりしていたのですが、こちらを描かれた山中ヒコさんの新作BLコミックが出たのです、2020。

山中ヒコ『イキガミとドナー』

こちら、下巻を左に・上巻を右にして並べると表紙がつながるデザインです。
私は電子書籍で買ったけど、紙書籍派の人たちおめでとうございます!!!!

なお、同時に非BL作品も発売されました。

山中ヒコ『クラスで一番可愛い子』

3編収録の短編集なのですが、どれもめちゃくちゃ良い。ぜひ読んでいただきたい。

山中ヒコさん、「寄るべなさ」の描写が絶品で、その中で身を切るように生きてきた人たちが日向ぼっこのあたたかさを知るに至る、みたいな物語が最高の最高なのです。

『王子様と灰色の日々』(全4巻)

本当に、ぜひみなさま出会って欲しい。

BLで再会、と言いますと、夏頃に再読ブームが(私の中に訪れて)、いろいろ読み返していました。

榎田尤利『nez』シリーズ(全4冊)

nezは「鼻」の意味。
人並外れて鼻のいい主人公と、人並外れて頭のいいビジネス上の相棒との話です。

過去と向き合ったりお互いと向き合ったりする中で、2人がお互いに影響しあい、助け合って進化していく様子が「最強のエンタメ!!!!」という感じで、大変に興奮、ワクワクと読めます。

英田サキ『ヘブン・ノウズ』シリーズ(全4冊)

こちらはホラーBL。

大きな館に住む小説家の元に、大学を中退して弟を育てる健気主人公が住み込み生活をしにくることになって……という感じのストーリー。

ホラーサスペンス風のストーリーがおもしろいのももちろん、英田サキさんの作品に通底している「大人は子どもに対して社会的な責任がある」点が、ものすごく明確にされているのが、読んでいてとても心強い。

再会もまた、良きものですね。

英田サキさん、ハードボイルドなアクションがキレッキレのBL作家さんで大好きなんですけど、個人的には、その英田サキさんの日常ものがなお好きだったりします。

英田サキ『PROMISING』

ほんっとうに……良……


でも、ただ、現状で英田サキさん作品の最高峰はこちら。

英田サキ『最果ての空』

恋とは……愛とは……情とは……?
皆さんにもこの傑作を読んで、特大の虚無と寂しさと悲しさを抱えて心を切り刻まれて欲しい。

なおこちら、『エス』シリーズの最終巻となっておりますので、先にシリーズ読んでいた方がいいです。

英田サキ『エス』シリーズ(全4冊)

英田サキ『エス』シリーズ番外編『デコイ』(全2冊)

上記6冊を読んではじめて辿り着ける傑作。それが『最果ての空』です。まさに最果て。
たどり着いてくれる方、募集中です。


さて、せっかくの2020振り返り記事なので、BLコミック・BL小説・非BL作品のベストなども書いておこうと思います。

あくまで「私が2020年に出会った」なので、2020年発売とは限りません。
とはいえ、ベストを決めるのって難しいなぁ……。


4、2020年に出会ったベストBLコミック

BLコミックの1位は、こちら。

早寝電灯『See you later,Mermaid』です。
どこがどうよかったか、と聞かれても、正直伝えるのが難しい。というか、私もよくわからない……。

わからないのだけれど、読んだときの私の何かにものすごく反応した。琴線に触れられてしまった。
だから、どこかの誰かにもそうやって響くこともあるかもしれないなと思います。

気づいたらもう、ボロボロに泣いていたんです。
この子たち2人とも、本当に好き。かわいい、いい子たちです。

言葉の大切さや怖さを知っている人たちの物語は、誠実だと思います。誠実でやさしい。

早寝電灯さんの作品、発売されているコミックスは全部読んでいるのですが、今のところ全部好きです。
今後も作家買いしていきます。よろしくお願いします。

あとは、吾妻香夜さん『親愛なるジーンへ』とか

ままならない厳しさもありつつ、根底に人間への愛がある。好きです。
愛おしくて胸が苦しい……。

『式の前日』で穂積さんの作品にはじめて出会ったときのような、しみじみとした感動がありました。
昼下がり、静かな窓辺で揺れるカーテンの豊かさみたいな、暮れて寂れていくものへの情感みたいな、秋の入り口にきくひぐらしの声のようなそういう……。
しあわせで、胸が苦しくなりました。

なおこちら、『ラムスプリンガの情景』のスピンオフです。
こちらも名作です。

穂積さん『式の前日』も最高の名作です!! 読み切り短編集です。ぜひ読んで!!


ギャグなら重い実『愛しのXLサイズ』とか

じわじわくる面白さなのですが、そのじわじわが永遠に終わらない・止まらないのが独特すぎます。
ずっとじわじわしてる。

オメガバースなら森世『ロマンティック上等』など

がおもしろかったです。

オメガバースというと「運命とか本能とかに支配されてる保守的なところがいや」という声はよく、とっっっってもよく聞くのですが、私は逆の印象を持っています。

観測範囲の違いでしかない話とは思うのですが。
この作品も、まさに「抗う」話のひとつ。

BLっておもしろい……と思います。

……いや、おもしろい作品本当にもっともっともっと、いっぱいいっぱい盛りだくさんあるので、選ぶの難しいのですが。


5、2020年に出会ったベストBL小説

BL小説の1位は、こちら。

菅野彰『SF作家は担当編集者の夢をみるか?』です。
シリーズ17冊目。18冊目も先日発売された、ご長寿なシリーズ。

ご長寿であることの、積み重ねがめちゃくちゃ効いてる1冊でした。
BL小説ですが、1冊目から恋愛要素が薄い。愛の描写はめちゃくちゃあるのですが。性描写も目っっっっっっっっっっっちゃくちゃ薄いです。
1巻でメインCPの攻め、受けに「僕そういうのあんまり好きじゃないんで」とか明言されているし。

今回、愛し合って付き合ってる2人がはじめて両思いになるシーンがあり(愛し合って付き合ってる2人がはじめて両思いになるシーン、です)、そこでボロボロに泣いてしまった。

恋愛小説で(一応)ありつつ、家族ものであり、お仕事小説であり、群像劇でもあります。
あと挿絵の二宮悦巳さんも大好きです。
ご興味ある方は、ぜひ1巻からどうぞ。

コミカライズ版もあります。

あとは、今年、安西リカさんとの出会いが大きかったように思います。

安西リカ『運命の向こう側』
オメガバです。
安西リカさんの作品、エンパワメントに溢れています。
なんの事件も起こらない系作品が多いのですが、ハッピーはめちゃくちゃハッピーだし、シリアスはめちゃくちゃシリアスなのに、その中で「ふふっ」と笑って息のつける描写があったりして、すごく安心して読めるのです。

『バースデー』という作品は「夏目イサクさんを読んでいたと思ったら羅川真里茂さんだった」みたいな作品なのですが、その主人公の「生活」のリアルがすごくて、凄いんですよ。

たとえば主人公が、「30分5000円」の料金がどうしても工面できず、何度かカウンセリング受けるのをキャンセルした。みたいな描写があるんです。
呻きました。
その支払いはカウンセリングを受ける側にも必要なものなのですが、カウンセリングって必要としている人ほど、困窮しやすいみたいな現状があるじゃないですか。そういうのを切り捨てないんだな、と思いました。

安西リカ『バースデー』

あとは、かわい有美子『透過性恋愛装置』とか

めちゃくちゃ好きでした。ずっっっっっっっっっっっっっっっとニヤニヤしてました。ニヤニヤが止まらなすぎて、表情筋の筋トレにしてもきつかった。

「うーわこいつ、やなやつ!」って思ってページめくる手が最初は重かったのですが、中盤以降、それどころじゃなかったですね。


同じく、かわい有美子『恋するクラゲ』とか

も、よかったです。お弁当が美味しそうすぎて……!

おいしい、かわいい、お仕事、平和! 最高! 受け攻めも理想通り、受けくんの微肉食感も理想通り、最高! という感じでした。

また受け視点の短編は、受けくんの口調が本編とはちょっと違って、しかし「これが受けくんである」という説得力がめちゃくちゃあり、よかったんですよ。
貴公子、想像以上に正統派な治安の悪さでした。
「生まれも育ちも超えられるラッキーの存在」というのは、リアルでもあります。
だって努力だけでは難しいこと、現実にはいっぱいあるので。

おいしいお弁当が食べたくなったし、おいしいお酒が飲みたくなったし、おいしいレストランにも行きたくなったし、中国語をまた勉強したくなったし、綺麗な字が書けるのって素敵だなって思ったりしました。

心に栄養が染み渡りまくった作品です。

あとはすでに上述している、モノクローム・ロマンス文庫の作品たちも印象深いですね。
来年もレーベルごと追うぞー! の気持ちです。

C・S・パキャットさんの新作も早く読みたいなー!


6、2020年に出会ったベスト非BL作品


はぁ……もうこれ、悔しいの一言なんですけど。

2020ベスト非BL作品はこちら。

沢村凛『黄金の王 白銀の王』。

くっそーーー!!!! つらい!!!!!!

こちら、友人が「わたしが死んだら棺桶に入れて欲しいベスト9」にランクインさせていた作品で、「へーーー彼女がそんなに言うなら読んでみよっかな😉」って余裕こいてた作品でした。

は????

おすすめもしたいですが、お正月に読むことはすすめません。

せっかくの1年の始まりである1月にはおすすめしないし、2月の寒さが厳しい時期にも、別れの季節である3月にも、心も忙しくなる4月にも、五月病を発症しているはずの5月にも、ジメジメ雨の6月にも、暑さにやられ始める7月にも、熱中症で毎日死のリスクと隣り合わせの8月にも、暑さによる疲れが溜まっていて体調崩しがちの9月にも、寒さが厳しくなる11月にも、冬季うつという言葉が現実味をおびすぎている12月にもおすすめしません。

かろうじて……かろうじて10月なら……ワンチャン…………????

心の底から「読んでよかった」作品であるにもかかわらず、なんでこんなにおすすめしがたいんだ。
心に傷を与えるからでしょうか。だと思います。

ただ、本当に「よかった」上、この作品、秋にどハマりした(し、今後も末長くハマり続けることが約束されている)名作であるところのアニメ映画『羅小黒戦記』の解像度をあげるのにもめっっっっっっっっっっっっっっっちゃくちゃ寄与してくれているので感謝だし、逆に、『羅小黒戦記』観て「よかったよ!」と思っている人にも、積極的に読んで欲しいですね。



上記作品をもし読んでいなければ、間違いなく1位だった作品はこちら。

宮下奈都『羊と鋼の森』

中盤から泣き、また泣き、また泣きに泣いて、読了までずっとハンカチが手放せませんでした。
驚愕の事実ですが、比喩ではなく。
「こんなに涙もろいのは加齢のせいか」とかも思ったのですが、であるなら、歳をとるってめちゃくちゃ楽しくて豊かなことですね。歳をとるっていいな。

でもこれは加齢の性だけじゃないと思う。
悲しい涙じゃないんですよ。琴線に触れるってこういうことだ、というのを、まざまざと知らされた作品。

あの、Twitterで実況みたいに感想ツイートしてるので、もうそちらをどうぞ。ツリーになっています。


あとは、阿部智里『烏に単は似合わない』シリーズとか

もよかったです。

「うわぁーかわいいー! でも頭良くてメンタルも強くていい子! 好き! 好き好き!」とニコニコ興奮するところから入ったキャラクターが、固めて押し殺した人間性を捨てられないまま怪物になることを選び、そう進化していく姿を見せつけられるという、物凄い作品でした。
凄い……。


コミックだと、

藤のよう『せんせいのお人形』

が、驚きの良さでした。
はじめてコミックサイト(?)に課金しまくって、止まらずラストまで読みました。めちゃくちゃ良い。

教育とは。恋とは。愛とは。友情とは。尊厳……子どもでいられなかった大人がそれでも大人であり子どもを育て慈しむこととは……とか…………
「教育」の可能性、喜び、奇跡みたいなものを見せつけられて、そのシーンで私はボロボロに泣きました。希望がある。

あとは、良家の子女である主人公が、めちゃくちゃいろんな壁に阻まれつつ「自分のやりたいこと」を追求して出奔、奮闘していく物語である大久保圭『アルテ』とか。

じわじわと常に、ここ数年ずっと「いい」作品である佐々大河『ふしぎの国のバード』とか。


さもえど太郎『artiste』も。

これらの新刊、今年も無事に発売されてよかったです。

三宅乱丈『イムリ』も、完結しましたね。

しんどさもありますが、めちゃくちゃ骨太なSF大河なので、お正月に腰据えて読むのにはいいかも。希望もあるし。
いえ1位の作品にだって希望はあるのですが。むしろ希望しかないのですが。
「希望しかない」……。

2020非BL作品1位の『黄金の王 白銀の王』と同じ作者さんの本で、今年はあと『ディーセント・ワーク・ガーディアン』という本も読んでいます。

これもお正月に読んで大丈夫。

ディーセント・ワークという概念、労働法や憲法の精神について、こんなにエンタメとして仕上げてくれちゃうのすごい!!
これ、もう稼ぎ仕事してる人もこれからする人も、ぜひみんな読もう?!

の気持ちでいっぱいです。
ぜひ読もう。

同じ作者さんだと、今年は何年かぶりに新作も出ています。
2ヶ月連続、2冊ずつ刊行の全4冊。
全部買ってるけど、まだ読めていません。

来年、早めに読みたい。

沢村凛『ソナンと空人』シリーズ



7、ところで、今年最初に読んだ本と、最後に読む本。

最初に読んだ本は、こちらでした。

砂原糖子『心を半分残したままでいる』(全3冊)

年明けてすぐ、義実家の布団の中で読んだ、サスペンス風の味わいもあるこの作品がめちゃくちゃおもしろくて、「普段読まない作家さんの発掘って楽しい! 大事! やるぞ〜〜〜!!」となったのでした。

なので、今年最後に読むのは、こちら。

砂原糖子『未来を半分残したままでいる』

 

電子限定だそうです。

なおコミックで2021年最初に読む予定なのは、こちら。

遠藤達哉『SPY×FAMILY』

すっかり好きなシリーズです。気軽に安心して読めますよ。おすすめ!




気づけば、長い記事になりました。
2020の振り返り、以上です。

2121年は、月毎とかの読んだ本のまとめも、ここのブログでやっていけたらいいな。記録って大事。


それではみなさま、2021年も、良い読書ライフを!


おしまい。



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