2021年1月に読んだオススメしたい本たち

読書記録

2021年1月の読書記録です。

読んだ本たちのうち、おもしろかった、そして「おすすめしたい!」てある程度以上思えた本たちだけを記載しています。

以下に記載していくものとほぼ同じですが、こちらをクリックしてもらうと、Twitterでつぶやいていたときの結果も、ズラズラーっとした感じで見られますので、ご興味ある方はどうぞ。

(以下からのリストは、上記Twitterからさらにふるいをかけているので、冊数がTwitterのやつよりも少し減っています)


1、2021年1月に読んだBLコミック

羅川真里茂『ニューヨーク・ニューヨーク』

再読です。そしてこれはBLではないような気もするのですが、昨年は作者さんがこの作品の二次的BL同人コミックも出していらっしゃるし、まぁいいかな。

古い作品なので、内容・表現ともに古い描写もあるのですが、どう考えても名作。圧倒的に名作なので、みんな読んでください。
『赤ちゃんと僕』を読んでいた流れで、私は発売時にリアルタイムで読んでいます。
多感な中学生時代(たしか)(小学校は卒業していたはず)のこの作品を読めたこと、本当にラッキーだったと思っている。
特に主人公・ケインが実家にカミングアウトしに戻るエピソード。
ケインの母親の描写が本当に印象深く、ずっと忘れられません。忘れません。


まさお三月『あと一息で愛』

再読。短編集です。
「かわいい男子」はBLの醍醐味ですよね。巻末に詰まっています。味わってください。


 秋葉東子『グッドルッキング』
    ルッキズムにかわいらしく乗っかるな、という批判もできそうではあるのだが、「顔がいい」という事象を「好みの顔」という、個のものとして強く定義することで、ルッキズムに揺さぶりをかける契機にもなるのでは? と思ったりもしました。
ので、そこの判断は保留しています。


朝田ねむい『兄の忠告』

いくつか「これはちょっと……」というポイントがあるのですが、差し引いても「面白かった」という感想が残る。おもしろかったです。
短編集なのですが、パンの販売の話と、毛虫の話と、小説家の話が特に好きでした。ほぼ全部では……?
田中相さん、有永イネさん、穂積さんの短編が好きな人にはこの作品、特に刺さりそうな気配があります。まぁそれ私ですけど。


中村明日美子『blanc』


 

 Amazon以外のところのやつ、うまく検索して探せなかったので。上記全部、Amazonさんの
リンクです。

ご存知、超名作『同級生』シリーズの完結編です。
どこをどう切り取ってどう見繕っても名作、傑作、超良作で、次世代いえ孫の世代まで語り継ぎたい。語り継ぐべき。
夢と現実と絶望と希望が全部詰まっていて、全部がパーフェクトでした。ありがとう。


夏目イサク『花恋つらね』6巻

生き方の選択、生きている場所は結構かなりシビアだと思うのだが、そのシビアさに手ぬかりがないにもかかわらず、「かわいい」が勝ってずっとニコニコしてしまう。
こんなにニコニコしながら「しんどい〜」て言える作品は稀有ですよ。
続きも楽しみにしてる!


苑生『兎の森』2巻

この作家さん、デビュー作からそうなのだが、絵がとっても安定していてずっと綺麗で崩れない。
その美麗さで描かれる呑気と「ちょっとやばいな?」な不穏の割合、明度の差が大きくて、気持ちよくクラクラさせられる。


akabeko『タケトコタトアオト』

いわゆる「子育てBL」が私は昔から苦手で、この作品にもやはり少し「うっ」となりはしたのだが、それにしても良い作品だった。
akabekoさん、保守的価値観に対してパキッと明確に異をとなえるので、それを読むのも楽しみだったりしてる。


佐岸左岸『オールドファッションカップケーキ』

再読。
おじさんのこの可愛さはファンタジーと思ってしまうんだけど、やはりそこには夢が詰まっていてとても好き。望んだ「かわいい」のこと、いつだってだれだって欲してよい。欲したかわいいの実践は楽しいよね。

「特殊の定義の擦り合わせしましょう」の箇所が好きなのです。
定義の擦り合わせをしよう、と受けに提案する攻め、どう考えても好き。食欲と同様に性欲も旺盛さをキープした攻めが、それを旺盛なままコントロールできているところに、私の好きなタイプの「強い!」を感じる。


佐岸左岸『春と夏となっちゃんと秋と冬と僕』

で、これですよ。
かわいい! かわいいの極み!
去年買って積んでいた1冊。「これもう今年のベスト候補に入れてもよいのでは?」と読みながら思っていた。
かわいい部門かわいい選手権にエントリーです。
そして物語としても、季節がぐるっとめぐる構成、どうしても愛さずにおれません。好き。
4コマ形式なの、ちょっと新鮮かも?
読み応えはめちゃくちゃあります。


しっけ『不屈のゾノ』

かわいいもの好き男子がかわいいものを愛でているかわいい様子にニコニコするのが好きなのですが、なんとそこに「かっこいい!」まで加わるからこの作品は強い。
ただし冒頭、コロッケパンを奪うのは許せん。食い物の恨みは恐ろしいんだぞ。私なら許せん。私はその点だけは許さんからな……!


SHOOWA『Nobody Knows』

再読。
「ヒトではないとされる、ヒトのかたちをした存在の人間性」を提示される作品に心を殴打されたり刻まれたりするのが好きなのですが、この作品もそういうあれです。
セフレじゃないセックスする友達2人の話も好きです。
ただ、「犯す」の言葉が軽いよね……この頃のBLにまだあった風潮……?

SHOOWAさんはBLと知らずに作品ジャケ買いしたことあったり、作品もずっと全部追っていたのだけれど、とある作品で「ホモ」をネタにしたギャグ漫画を描いていたのを買って読んでしまって以来、もう数年ほど避けていた。
BL描く人がやっちゃいけないことだと思うし、BL読む人が許しちゃいけないことだとも思っているので。

が、しかし、読みたくなってしまってさ……の再読です。
そして作品はやっぱり好きなんだ。はぁ。悔しい。


はらだ『ハッピークソライフ』2巻

1巻の簀巻き***描写がすごくちょっとほんと無理……となって避けていたのだが、読めるかも、と強気になったので読んでみた。
2巻は大丈夫だったよ!!!!!!

はらださんの作品に出てくる女子、みんな「攻め!!!!」という感じなので本当に好き。
元カノちゃんが「私はちんこに負けたんだうえぇ〜〜〜〜〜〜ん」となっていたが(ペニバンで突っ込んであげるスタイルだった)、実態は現在のセフレのペニスより「彼女の腰使いの方が断然ヨカッタヨ総じて彼女が上*^^*」みたいなやつで、ほら〜〜〜やっぱりはらだ作品の女子はみんな素晴らしい攻めなんだよな〜〜〜好き! となった。

それにしても、読者のキャパシティがじわじわと試される1冊。
ついていくのが精いっぱいすぎる触手、おばあちゃんの思い出、そして「りょうおもい」と、設定と描写で脳みそも情緒もジェットコースターされた。はらださんやっぱ凄いよ…… 異種カンの犬とカタツムリのかわいさったらなかったな。
3巻も楽しみにできる。嬉しい!


奥嶋ひろまさ・SHOOWA『同棲ヤンキー赤松セブン』

全3巻。
完結済みです。私は2巻の表紙が一番好きなので、2巻から情報とってきた。

ヤンキーギャグに振ったSHOOWAさん、と思ったら重い方にも振っててうわぁ……となり、一気に読んだ。しかしちゃんとギャグです。赤松ーーーっ!
奥嶋ひろまささんの絵も、とっても味があって好き……!

「悪い大人」たちの、悪さにも種類と階層があり、その「悪さ」は、しかし側にいる子どもたちにとってはまた別の話でもあり、という…………
セリフのないシーンを連ねたコマにぐっときたり。
何度も読みたい。


青井秋『百草の裏庭』

「雰囲気漫画」という、褒め言葉ではない表現があるのだけれど、青井秋さんの作品も「雰囲気漫画」だと思う。
で、読んで思い知って欲しいのだけど、「雰囲気」をこんなにしっかり描けるというのは、つまり世界観のつくり込み、というか作品世界の構築がめちゃくちゃ綿密で精緻でしっかりされているということなんですよ。

鉱石を食べたいとか、繁る野草を煮詰めて野の花のジャムをつくって……とかに憧れたことある人は、みんな青井秋作品を読んで欲しいと思うし、私はまたこの世界観に出会うために、何度でも青井秋作品を読むのです。

『百草の裏庭』は、とりどりの多面体のやさしい部分をひと掬いだけ見せてくれたような、大変に趣深い作品でした。これからも大事に抱えます。


きはら記子『一途な犬は諦めない』

同じ作者さんの新作を購入しようとしている記念の再読でした。
絵が好き。ずっと好き。そしてそうです私は世田が好きです。ビジュアル好きだし「いいセフレ」キャラが大好きなので!


ユノイチカ『夜明けの唄』

 

めずらしく、単話版の紹介です。なぜならまだコミックになっていない作品なので。

「すごいおもしろかった!! 絶対このかたの作品好き!! まず別作品でもいいから買うぞそして読む!!!!」の気持ちだったのに、こちらなんとデビュー作なようでした。
そんな…… はやくコミックのかたちで作品を買わせて 読ませてほしい…… 応援……!

画は骨太さと繊細さをどっちも存分に感じさせてくれる線で気持ちがいいし、ストーリーも好き! とても好き! だった。本当にコミック化が待ち遠しいです。


灼『ハレとモノノケ』

上下巻。
とっっってもよかった! 山の自然と人の暮らしと生きると死ぬと、様々ないろいろの取り混ぜで「日常」がつくられ、「非日常」があり、好きだ〜〜〜となった。
イシノアヤさん作品や青桐ナツさん作品好きな人は、ぜひ読んで欲しい。

淡々と流れの上澄みだけに触れて掬ってつくったかのようなストーリーラインなのだが、そこがまた良い。
見えるものから先は、掘るも掘らぬも読者次第。という感じ。
主人公の抱えたどうしようもない「寂しさ」も、寂しさのまま残っているのが良いです。そして、それこそがしあわせの証になる構成も見事!

灼さんの作品、懐古的なところを感じさせるし、保守的な部分もある。
しかしそれは、「すでに変わってしまった先である、いま」を祝福するようなものだなと感じた。あるいは、「普通ではない」ことで享受できるものを得られた喜びに目を向ける契機のような。
良作!!


灼『あおに鳴く・続』

『ハレとモノノケ』を読んだ記念の再読。

鴻さんのしたこと、初読のときは「そういうのよくないと思います!!!!!」と思ってたんだけど、今回は別の感想になった。
ちゃんとあちらに戻った甲斐はあったのだし、これは「全部取りしにいった強欲」なのだと思って、「好きです……」しか言えなくなってしまったので。好きです……!


チョコドーナツ『あさがおは夜から咲く』

死の扱いが重くない、のは気にもなるのだが、死を抱えた周囲に続く生活の明るさは厳しい。良い。
楽しいことが悲しいし、それでも生きるって、そういうことなのだな。

「見られたら2度死ねる」「わかる」と会話されたそのスマホの中身がなんと巻末で見られるのだが、続いていたはずの日常のにおいしかしなくて、しあわせすぎてとてもつらい。

『あさがおは夜から咲く』というタイトルも良い。あさがおは夜から咲くんだ。


2、2021年1月に読んだBL小説

ライラ・ペース『ロイヤル・フェイバリット』

ずっっっと胃が痛くなるような緊張、少し緩んでまた緊張、緊張による緊張が緩んでまた緊張……で大変だったのだが、はぁーーーよかったーーー
ここまで辿り着けてよかった。パーフェクトです!

ただの保守的な人と思われていた彼女が感情を殆ど全く解せず、その上で背筋を伸ばし生きていた人とわかった瞬間、私は彼女を「好き!!!」になった。
コントロールの結果にせよ、解せない結果にせよ、論理と倫理と信じる正義に基づいて言動を選択する人を、私は尊敬します。
「人の心がわかる、思いやれる」ことではなく、正義感と倫理観に基づいた公平さが、あのガチガチの保守性を「現代化」させたというところに、めちゃくちゃ強力な納得感と希望があって、はぁーーーーー本当に最高でした。

作中、とある発言について「愛があれば」と語られていたのだけれど、要素としては愛ではなく尊厳の尊重で、それも好きでした。
愛があった結果、彼女の尊厳を尊重する言動があのとき取られた、という感じ。逆説的に言えば、愛の存在は絶対条件じゃなくても大丈夫なのかな、と。
ともあれ、名作!


菅野彰『花屋に三人目の店員がきた夏』

毎日晴天! シリーズ18冊目。
おおおおお母さんっ……! しかしそう、どうしたってまるで「不倫のよう」で、こんな……時間でも解決が難しいだろう「二度目のなさ」の話。つらいのだが、龍も明も誠意を見せたから、そのことには絶対に価値があるよね。あるよ。

小さい頃弟にさせてしまって、普段泣かない明ちゃんがそのことに気づいて大泣きしたというエピソードが、すごく効いていた。構成の匠。龍ちゃんは泣かないけど、明ちゃんを泣かしてくれるんだ。わぁーっ!
子ども時代を知ってる大人としての葛藤も文字化されており安心と信頼の菅野彰作品です。

ところで「三人目」の新人くんがイケメンで良……でした。彼の話もいつか、きっと、絶対、めっっっちゃくちゃ読みたいです。
あとラスト、お兄ちゃんの取り合いの話も好きでした。かわいい〜*^^*
明ちゃん、儚い自己犠牲タイプと見せかけた勉強オタクのゴリラであり、「頑」という字が一番似合うのです。好き!


かわい有美子『甘い水』

『天使のささやき』シリーズの作品なのだが、こちらの作品の方が俄然好きです。遠藤!!!! 受けの遠藤が好き!!!!

警察組織、ゴリゴリの保守性や部署のいろいろもあるとはいえ「外国人犯罪」への描写は、本邦の現状を鑑みると、今読むことに特に危うさを感じてしまうことはある。(前作は特にそれが強かった)が、どうにも遠藤が……良……

作中で某キャラが遠藤の人間性について語っているのだが、「それは私の推しがいつも持ち合わせがちな要素ですが?!」となった。遠藤!!!! くっ 遠藤……!!!!!!

攻めの神宮寺くんも、とってもかわいい恋愛不器用くんでまっすぐで好感度が大変に高いです。
きみたちそんな頭良くて能力高いのに、なんで揃って恋愛にポンコツなの? かわいいね!!!!


かわい有美子『甘い水』2巻

「甘い水」が何のことなのかがわかり、ああ……となった。出てくる食べ物たちもみんなおいしそうで、「飯も美味いし…、なんか幸せ…」の説得力が高い。

テーマは「日にち薬」「時ぐすり」と思う。
舞台は派手なようだけど、テーマは地味で堅実、でもこういうのこそかわい有美子さんの強いところと思います。
良作!


安西リカ『何度でもリフレイン』

「10年前に別れたけどまだ好きな人と再会し、復縁する。〜完〜」みたいな作品なのだが、それだけでこんなにおもしろいというのが、本当にすごい。胸をうつし、ハイライトがおどっている。すごい。


安西リカ『甘い嘘』

読んで欲しい。ぜひ読んで欲しいです。
この作品を読んで、ちょっといろいろ考えたりもしたので、すでに1本記事を書いています。



3、2021年1月に読んだBL以外の作品

遠藤達哉『SPY×FAMILY』6巻

「母なるもの」への賛美、私はとっても苦手なのだが、この作品でのそれに苦手感がないのは、扱いが「スキル」だからなのだろうなと思った。

出産・育児をしていない人への「子どもを産まなきゃ・育てなきゃわからない(≒人として未熟)」みたいなやつ、断固拒否!!!! と思っているのだが、なんと子育て界隈、子を産み育てることのリアルを知らない人たちからの攻撃・マウンティング・謎のアドバイスはひっきりなしで、そういうものに日々あまりにも消耗させられたりしている、というのもまた同時に無視できない話だったりします。

子を産み育てなきゃダメなんてこと絶対にないけど、産み育てる経験をすることで見えるようになること身に付くことというのも絶対にあって、それはつまりスキル。

医者じゃない人間はダメなんてことはないけど、医療の知識も経験もない人が「学びも経験も必要ない」みたいな姿勢でトンデモテキトーを語っていたら、そしてそうすることが世間に受け入れられていたら、むしろそうすることが当たり前とされていてそれが政治レベルで通底されていてそういうのを元に社会制度が構築されていたら、それはおかしいってなるでしょ。みたいな話で。

経験と知識とスキルの存在を、それがある、というのを当たり前のものとして扱われるのは、とても心地よいです。
当たり前のことなんだけど、あまりにもそれのない社会なので。

※なお、自分の子どもを産んで育てただけでは出産のことも育児もこともわかったとは言えない、というのもまた間違いのない事実です。

ともあれ『SPY×FAMILY』、湿度が低くてあたたかい、絶妙な質感の作品です。次巻も楽しみにしたい!


芥見下々『呪術廻戦』14巻

はぁーーーななみーーーん!!!!
お疲れ様でした、お疲れ様でした。のこす言葉は等しく「呪い」になり得るという点、知っているあなたが好きでした。
子どもへの眼差しがちゃんと「大人」で、その良識が好きでした。はぁーーーーーーー!!!!

しかしこの作品おもしろいし、今後も読んでいくけど、「おすすめ」とはどんどん言いがたくなっていくなと感じています。
内容もそうだし、作者のコメントとか。
ななみんのことを書きたい言いたいと思って今回書いたけど、次回以降はちょっともういいかな……。


野田サトル『ゴールデンカムイ』24巻

作中何度か「何なんだこれは!」というセリフが出てくるのだが、それはこっちのセリフである。何なんだこれは?!
相変わらず、読者を揺さぶる方向が360度+αという感じ。白石が可愛くてありがとう。海賊は顔がイケメン。谷垣ニシパ〜!


伊坂幸太郎『ホワイトラビット』

『ラッシュライフ』で伊坂幸太郎を好きになった私が喜びました。
構成と描写に打ち震えたい読者なのだが、展開にも震えた。おもしろかっっった!!!!

ただ、綿子ちゃんにだけ不満があります。彼女にも****でいて欲しかったという願望がどうしてもあるので……。


藤のよう『せんせいのお人形』4巻

 

相変わらず…… もう…… 
漫画アプリで試し読みしたあと、どうしてもラストまで読みたくて全力を尽くした作品です。名作。
いろんな立場のいろんな人が出てくるし、大人も子どももいるけど、みんなままならない中で誠実にもがいている。
そう、描写がともかく、誠実なのです。
完結までまだコミックスは何冊もあるわけだけど、今後も楽しみにしています。


サトシン作・西村敏雄絵『わたしはあかねこ』

あかねこちゃんが「わたしはわたしがすてきだと思う」の気持ちを持ち続け、ひとりで旅に出るところ、好きだー!
「別の」仲間と出会って「別の」チームをつくるんだけど、みんなそれぞれに別々でしかなくて、そこにもまた希望がある。


信濃川日出雄『山と食欲と私』13巻

好きなシリーズなのだがここ数冊はちょっと中弛みな感じがしていた、のだが、13巻おもしろかったー!!
山ガールではなく「単独登山女子」になる過程、と銘打たれた一連の話、とってもよかった!
「山でのご飯」に出会って、そこから登山をする人になるまでの一連、ほんとうに素晴らしい。
おばちゃんもステキね!! おかあさんもステキ!! 最初はおにぎりだったというのも本当によくて、14巻も楽しみになった。

しかし、しかし……
「単独登山女子」は、山ガール「なんか」とは違う、みたいな観念が根底にないだろうか……? とモヤモヤした。そういう陰湿さは好きではないので……気のせいだといいな。

あとCOVID-19の存在が作品に反映されてるの、めちゃくちゃいい! と思ったんだけど、ラスト、COVID-19の存在消えてなかったか……?
マスクも社会的距離もリモートも必要で、対面での触れ合いが難しくて、という中で物語を紡ぐのは難しいことなのだろうなとも思うけど、マスクと距離はぜひ必須にしてほしいな。


中田春彌『Levius / est』

2巻まで読了。
以前、別の雑誌に掲載されていたときのものを読んでいるのだけれど、アニメがめっぽう、それはもうものすごくおもしろくて、こちらもあらためて読み始めた。(ちゃんと以前からの続きになっている!)

いま、こちらは9巻まで出ているみたい。集めよう……。

※以前のものも「新装版」として上・下巻で再度販売されています。




鶴谷香央理『メタモルフォーゼの縁側』5巻、完結

地に足のついた、でも夢のような時間。しかもlife goes on、それぞれの場所でそれぞれに続いていくという。
読後感まで最高。とってもすてきな作品でした! 間違いのない名作!


大久保圭『アルテ』

13・14巻と続けて読んだのだが、まさかの投獄、脱獄、そして別れ……と、本当に怒濤だった。
しかしアルテちゃんが愛されて大事にされており、居場所があって、それは彼女が自身の力で作ってきたものである、というのがしっかりと書かれていて最高。
母親との再会、という展開にハラハラドキドキしたというのもあるのだが、母親の、彼女は彼女でものすごくかっこいい人だったというのがわかって、私はそれも本当に嬉しかったのです。
それぞれの立場があって、考えがあって、事情があって、選択があって、それぞれに素敵。
良い作品です。


原作・菅野彰、漫画・山田睦月『ぼくのワンピース』上・下


少し気合を入れて読みたくて寝かせていたのを一気読みしたのだが、ぼろぼろに泣いた……くっ……。
「マイノリティの物語」なのだが、マイノリティの物語、と書いたら間違いだと思うので、ただ読んで欲しい。

ワンピースを着たいアイデンティティ迷子の主人公と、とある時点まで彼が存在の認識すらしていなかったクラスメイトとの出会いから始まる物語。
この「主人公はセクマイとかトランスジェンダーとして定義されていないのですが、なぜそう定義されていないかは作中で明言されます。

誰にもいろいろある、ほんとうに誰にもいろいろすぎて、渦である。渦が強すぎて、ままならないなぁ人生……となった。
いろんな人に読んで欲しいし、読んで、この爽やかな虚脱としあわせな悲しみに悶えて欲しい。

下巻の後書きで漫画の山田睦月さんが「絶対に描きたいと思った」けど「こんなもんが描けるのか?!」とものすごく苦悩した、と描かれていて、しかし結論として「あぁでもいつもの菅野彰作品だ」と腹落ちしたとおっしゃっており、それ。本当にそれ。と、読んでいる私も思いました。
まさに菅野彰作品そのものでした。(そりゃそうだ)


中村明日美子『王国物語』3巻

『王国物語』にはこれまで、「好きだ……となったキャラが退場」をわずか2巻で2回重ねられてしまっていたので、3巻は震えながら読んだのだが、叫び出したい気持ち……
どうなって これ どういうことよ…… 私「おにいちゃん」属性に特効ついてるんだよ……と頭を抱えました。
4巻も楽しみなのですが、「楽しみ」なんて作品ではない。


岩岡ヒサエ『孤食ロボット』5巻

ひぇぇ〜〜〜っ こんなに寂しいことになるとは。

紹介される料理がみんなおいしそう、でも手間に思えて作る気になれないからただ羨ましく「作ってほしい……」の気持ちを喚起される作品。
と、いうイメージ主軸で読んでいたのですがが、「ストーリーもいい」ことがあらためて示されてしまった5巻でした。
6巻も買ってあるので、遠からず読みます。


たじまこと『水曜日のトリップランチ』2巻

今回もかわいーーー! おいしそーーー! でニコニコしました。

紹介されている(?)ご飯は、つくるのには適度に楽で適度に手間もあり、とてもちょうどいい感じがする。そして何より大事は「おいしそう」のレベルが高い!
主人公たち2人が距離を縮めるステップ、その踏み方も明快で、とても気持ち良いです。
よき恋愛ご飯漫画! 好き!



はい、1月に読んだおすすめ作品たち、以上です。
気になるものあったら、ぜひ読んでみてくださいませ〜*^^*


おしまい。




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